卵と小麦アレルギーが改善したケース
【主訴】
2歳男児 卵と小麦の食物アレルギー
【タイムライン】
1歳1か月で、うどんや練り物のつなぎ、麩など小麦食品を食べると、顔や腹部に膨疹が現われ融合し赤く腫れる、咳込む等のアレルギー反応が現われる。2016年9月、皮膚科にてアレルギー血液検査を受け「小麦 卵 クラス3」と診断される。予防接種歴なし。
【結果】
(主だった回のみ記載しています)
初回 2016/9/24
○The Bonninghausen Repertoryにて検索 (以下TBRと記載します)
#1472粟粒性の発疹
#1492丘疹
#1510蕁麻疹に似た発疹
#143頬
#141額
#1794小麦粉でできた食物で悪化
#588吐出物のある咳
#589粘液産生
#778多情な精神 随時
随時 ΦQueb.(ケブラコ)呼吸困難による酸素不足
+Caust. LM7(水酸化カリウム)TBR検索より
+Psor. LM8(疥癬)発育の停滞
+Rhus-t. LM9(アメリカツタウルシ) TBR検索より
+Nat-m.12x(塩化ナトリウム)繰返すアレルギー反応による体力消耗 +Kali-p.12x(リン酸カリウム)Nat-m. と同様
※アレルギー反応時の緊急対応に
Apis 10M /His. 10M(ミツバチ/塩酸化ヒスタミン)
S-Zen-ho
※お母様が適応レメディ―をとりながらこのお子さんに授乳している都合LM7から開始
○経過
ラーメン、そばを食べて全身に膨疹と喘鳴がみられ、Apis/His. とS-Zen-hoのレメディ―で緩和。粘性の強い痰咳、水様の鼻水が続く。 肩甲骨部の隆疹。
2回目 2017/3/15
○TBR検索
#582吐出物のある咳
#589粘液産生
#625水っぽい鼻水
#1690日没から就寝まで悪化
#1687朝に悪化
#1703外気で悪化
#959乾燥
#1390皮膚が硬い
#256肩部
随時 サポートΦカンジタ 白砂糖で酸性に傾いた体内バランスに
+Sulph. LM8(硫黄)TBR検索より
+Psor. LM9 引き続き
+Bac. LM9(人の肺結核)皮膚の痒みと呼吸器症状
+Sep.LM10(イカ墨) TBR検索より
+Par.30c(ツクバネソウ)粘液質の痰を出せず吐き気を催す
○経過
39℃発熱頻回、痰咳、鼻水、後鼻漏、物を投げる、ひっくり返る等感情の排出。肩甲骨部の隆疹改善。4月、皮膚科にてアレルギー血液検査の結果「小麦 卵白クラス3 卵黄クラス2」と診断受ける。
3回目 2017/6/10
○TBR検索
#567大きな音の呼吸
#589粘液産生
#625水っぽい鼻水
#839病訴による不眠
#1691夜に悪化
#1687朝に悪化
#420便秘
#1763怒りを伴う苛立たしさ
随時 ΦEriob.(ビワ)痰咳に
+Carb-v. LM9(植物炭)呼吸のサポート
+Bac. LM10 引き続き
+Nux-v. LM11(マチンシ)TBR検索から
+Cina.6C(メセンシナ)粘液性の痰のある咳、敏感で拒否する感情 +Arn.LM11(ウサギギク)採血の傷の痛み
○経過
鼻水、痰咳、空揚げを伴う咳、嘔吐が続く。レメディ―3滴から1滴に減らす。激しい感情改善。
4回目 2017/11/25
○TBR検索
#589粘液産生
#625水っぽい鼻水
#624粘り強い痰
#1687朝に悪化
随時 サポートΦ肺 長引く呼吸器症状
+Stann. 6C(スズ)TBR検索より
+Bac. 30C 引き続き
+Puls. 30C(セイヨウオキナグサ)Stann. との相互性
+Carb-v. 6C 強い咳込みによる呼吸困難
+Thym-gl. 12C(胸腺)免疫を高める
○経過
咳、鼻水悪化。反応が強いため飲用を休んで入浴の湯に入れて続ける。その後鼻水改善、痰咳やや改善。右顔面に丹毒様の腫れ。3月、皮膚科にてアレルギー血液検査の結果、小麦、卵とも前回と数値に変化なしと診断受ける。小麦1gでも即、呼吸器と皮膚にアレルギー反応が現われる。液体レメディ―をとり切るのに時間を要するため粒レメディ―に切替える。
5回目 2018/4/14
○TBR検索
#1458丹毒性の発疹
#1742冷たい天候で悪化
#1707冷えた途端に悪化
#1794小麦でできた食物で悪化
#335焼き菓子を欲する
#338パンを欲する
#179頬に発疹
#1478湿疹
夕方① TS血液の栄養サポート アレルギー改善に
夕方② Sulph.6C 小麦で悪化
+Psor.6C 皮膚に関して
夕方③ Bell.30C(セイヨウハシリドコロ)TBR検索より
+Plb.12X(鉛)焼き菓子、パンを欲する
随 時 S-K-T 糖代謝の改善に
○経過
右顔面の丹毒様の腫れ改善。痰咳が改善。加熱した卵を食べてアレルギー反応なし。卵1個食べられるまでに改善。小麦は除去を続けている。
6回目 2018/6/30~ 8回目 2018/12/1
○経過
パンひと口、クランキーチョコひと口を食べて、1時間ほど経過して顔に膨疹。 乾パン2個食べて2時間後に顔と腹部に膨疹。以前の極急性重篤なアレルギー反応が軽度になる。4歳になり小麦食品を食べたくて泣く。水疱瘡罹患。肩甲骨が痒い。
9回目 2019/2/9
○TBR検索
#1432掻いたあとに発疹
#1468痒みのある発疹
#1478湿疹
#251肩甲骨
#1794小麦でできた食物で悪化
#1522痒み
夕方① Psor. 6C 慢性の皮膚症状
+Med. 6C(淋菌)どこか常に痒い
夕方② Sulph. 6C 皮膚の痒み 小麦で悪化
+Kali-i.(ヨウ化カリウム) 12X 蕁麻疹様の発疹
夕方③ Cop. 6C(バルサム)Med. と併せて
+Kali-al-s. 12X(硫化アルミカリウム)乾燥しやすい
○経過
小麦アレルギー改善傾向。そうめんを試して摂取量を徐々に増やして15gまで改善。肩甲骨の痒み改善。臀部が痒い。
10回目 2019/4/21
○TBR検索
#1794小麦でできた食物で悪化
#1522痒み
#251肩甲骨
#277臀部
夕方① Psor.30C 引き続き
+Med.30C 引き続き
夕方② Sulph. 9X TBR検索より
+Calc-s.9X(硫化カルシウム)治りにくい皮膚炎
夕方③ Sep. 30C TBR検索より
+Sil. 12X(二酸化ケイ素)皮膚の修復
夕方④ S-K-T 糖代謝の改善に
○経過
小麦アレルギー改善。食パン毎日30gまで可食。臀部の痒み改善。
【考察】
レメディ―をとると、アレルギー反応時と同様に、粘性の痰咳、発疹と痒みが激しいため、各回、呼吸器と皮膚の症状に重点を置いて、レメディ―を選択しました。中でも小麦粉でできた食物で悪化する基調をもつSulph. を低ポーテンシーで使用することが、主訴改善に向かう鍵となりました。結果として、鼻水、痰咳、発疹の順に諸症状が改善。卵と小麦のアレルギーを克服する結果となりました。
39℃台の発熱頻回、空上げを伴う激しい痰咳、咳込みと嘔吐等、強い好転反応を繰り返したため、レメディ―の飲用を入浴のお湯への滴下に切替えることで、穏やかに作用する経過を辿りました。また後半は確実にとることのできる粒レメディ―に切替えて継続し、症状改善に向かったことから、液体ポーテンシーを上手くとれない小児の場合、粒レメディ―でも慢性症状に対応できる場合があることが考察されます。
母親にとって、子どもの皮膚の痒みと、夜間の呼吸器症状を見守ることは、心身ともに大変なエネルギーが必要であり、疲労困憊したお母さまとの電話、メールでのやり取りは頻回に及びました。忍耐強く、お子さまの状態に寄り添ってこられたお母さまがいてこその、今回のケースでした。お母さまが、熱心にホームキットのレメディ―を学ばれたことも大きな一助となりました。現在5歳、2019年10月時点で、パン120gまで、またラーメン、そば、クリームパン、クッキー等、卵と小麦食品の可食の幅が広がっています。引き続き、健やかな成長を願います。
由井学長の強化学習における「Cop.が淋病マヤズムをセーブする」という解説が、今回Med.とあわせて Cop.を選択する決め手となりました。 これをきっかけに主訴が大きく改善することになりました。 数多くの症例と解説をご教授下さる由井学長に、この場を借りまして、あらためて感謝申し上げます。